【ステップ
3:ロング候補とショート候補を組み合わせて銘柄ペアを作る】
12_640x483

1. β値(市場感応度)が同程度の銘柄ペアであること。

β値(市場感応度)とは、市場全体の値動きであるベンチマーク(例としてTOPIX日経平均など)に対し、個別銘柄がどのくらい変動しているかを数値化したもの。「(個別銘柄とベンチマーク変動率の共分散)÷(ベンチマークの分散)」で算出される。ベンチマークの絶対値「1」に対して、個別株が「1」の場合、ベンチマークが「5%」上がればその株も「5%」上がり、「5%」下がればその株も「5%」下がることを意味する。
したがって、採用するペア銘柄が
1以上ならば、(ベンチマークに対して相対的に)ハイリスク、逆に1以下ならば(ベンチマークに対して相対的に)ローリスクとなる。ペア銘柄の変動を山の大きさに例えると、以下のようなイメージになる。
04_640x406_2
β値を同程度に合わせないと、一方の銘柄が他方の銘柄に対して十分なヘッジ機能を果たせず、結果としてβ値の高い銘柄の片張り投資をしているのと同じことになってしまうため注意すること。

2. 過去の一定期間における株価変動率(ボラティリティ)が同じくらいの銘柄ペアであること。

株価変動率(ボラティリティ)とは、「(過去の一定期間の最高値-過去の一定期間の最安値)÷過去の一定期間の最安値×100」で算出される(簡易式を使って説明)。たとえば、過去1年間の最高値が600円、最安値が300円だった場合、(600300)÷300×100100%、つまりボラティリティは100%となる。

理由は9.の説明と同様に、山の大きさを同じくらいの範囲に揃えてあげないと、一方の銘柄が他方の銘柄に対して十分なヘッジ機能を果たせず、結果として片張り投資をしているのと同じことになってしまうため注意すること。※参考【正規分布

3. 過去の一定期間における両銘柄の株価変動係数が同じくらいの銘柄ペアであること。

株価変動係数は「標準偏差÷平均」で算出される数値。株価変動にバラツキがありすぎると、一方の銘柄が他方の銘柄に対して十分なヘッジ機能を果たせず、結果として片張り投資をしているのと同じことになってしまうため注意すること。

4. 相関係数がある程度高い銘柄ペアを組み合わせること(高すぎないこと)。

ペア銘柄に、ある程度の連動性がないとペアトレードはそもそも前提条件が成立しない。また、これとは逆に、相関係数が高すぎると、利幅が狭く、ローリスク・ローリターンとなり、利益に対して手数料の占める割合が高くなってしまうので注意すること。

ペアトレード(サヤ取り投資)は一般論として、「相関係数が同じくらいのペア銘柄を同時に買い建てと売り建てを行い、サヤが収斂したら決済する」と考えられている。これはもちろん正解ではあるが、個人的には相関係数よりもβ値(市場感応度)や株価変動係数のほう重要性が高いように思う。
この戦略の本質が、「ペア銘柄同士がリスクを打ち消し合うことにより、マーケットに対して、中立的(ニュートラル)な立場を取ることで、一方の銘柄が他方の銘柄に対しての保険機能を果たす」、というところにあるのだと考えるからである。最適な合成ポジションを組むことにより、次から次へとボックス相場を作り続けていくイメージだろうか
なお、相関係数の数値だけでは元データの情報が不足している可能性が高いため、相関図(散布図)と一緒に使うとよいだろう。また、回帰分析により、相関図の散らばり具合の平均を通る回帰直線を引くときは、決定係数を算出してデータの当てはまり具合まで併せてチェックすれば、さらに精度の高い分析が期待できるだろう。
参考【まとめ②

5. 値動きがなだらかに上下し、かつ周期的にうねりのある銘柄ペアであること。
スプレッド(サヤ)の伸縮に規則性があるため、ペアトレード向きといえる。実際にトレードを行うとテキストに書いてあるような理想的な伸縮グラフはなかなか存在しない。

周期性の回帰分析には、フーリエ解析という方法を用いて数値化することもできるが、裁量トレードの場合、チャートを用いて視覚的に判断するのがもっとも簡易的な方法となるだろう。 参考【周期性回帰分析

にほんブログ村 先物取引ブログ サヤ取りへ
にほんブログ村

金融・投資 ブログランキングへ