分散の正の平方根(ルート:√)を標準偏差という。分散を√しなければならない理由は2つある。
ひとつは、分散のままだとデータが大きすぎるので、株価データの幅として採用することができないため(例を思い出してほしい、分散の値は208。過去半年間の月末の終値が、80円、95円、110円、105円、90円、100円。最高値が110円(平均値100から10円のズレ)で最安値が80円(平均値100から20円のズレだったから、ブレ幅はせいぜい10~20円の間くらいだろう。こうして考えると、分散の208という数値はあまりにも大きすぎる)。
もうひとつは、偏差を2条した値が分散だったので、このままだと単位が違ってしまう。この時点での単位は、「株価変動幅」ではなくて「(株価変動幅)2」となっている。
そこで分散の√をとる処理を行うことで株価データの範囲として使えるようにする必要がある(√することによって、標準偏差は単位が変量と同じになる)。
また、2条から計算した標準偏差は、次に説明する正規分布に当てはめやすいという性質を持つ。
~~~~~~前回までの流れ~~~~~~
【偏差】
↓
【変動】
↓
【分散】
~~~~~~ここまで~~~~~~
分散は ≒208.33
↓
ルートする
↓
√208.33=14.4336...
↓
よって、標準偏差は ≒14.43 となる。
過去半年間のA株のブレ幅は14円くらいである。
例を思い出してほしい。過去半年間の偏差が、-20、-5、10、25、-10、0だったので、(平均値100円からの)平均のブレ幅はだいたい14円くらい(86円~114円)だろうということがわかる。
これは月足データの終値をイメージして作った例題であるが、通常は日足の終値のデータを用いる(理由は、翌日のマーケットオープン時に仕掛けるため、直前のデータがもっとも有効性が高いと考えられるため。また、マーケットオープン時に仕掛けるのは市場参加者が多く、流動性が高いため、約定値が飛びにくいことも理由である)。
日足データを用いればデータ数が増えるし、月足データの終値だけではわからなかった高値や安値などの情報が詳細に出てくるので、どんどん分析の精度が上がっていくことになる。
さすがに私自身、分足やティックデータで分析したことはない(おそらくパソコンがフリーズだろう)。
ここでわかるのが、ベンチマークであるTOPIXや日経225のブレ幅と比較して大きいのか小さいのかということ。
大きいものは全体の市場平均値より変動するので、(ベンチマークと比べて)相対的にハイリスク、小さいものは市場平均値より変動しないので、(ベンチマークと比べて)相対的にローリスクであることがわかる。
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